学習障害(LD)
症状
学習障がいは知的な発達に遅れはなく、読む・書くなどの1つまたは複数の分野の理解・能力取得に困難が生じます。
特定の能力にのみ障がいがあり、他の能力は正常です。障がいのある特定の能力意外は、高い知能を持っている場合もあります。
例えば、算数の問題は理解でき、計算も他の人より速くできるのに、文章をスムーズに読めなかったり、字をかくことが困難だったりします。
頭の回転は速く、会話も流ちょうであるのに、読み・書きだけに困難を示すのです。
また、以下のような症状もあります。
①話すこと
●抑揚、声のトーンが不自然である
●単語を羅列した表現を多用する
●発音が不正確である
●早口、たどたどしいなど速度に問題がある
●言葉に詰まることが多い
②ディスレクシア(読字障がい)
●読書のスピードが明らかに遅い
●同じ行を繰り返して読むことが多い(文章を読んでいるとどこを読んでいるのかわからなくなってしまう)
●行、単語を飛ばして読むことが多い
●文章の内容を誤って理解していることが多い
●よく似た文字が理解できない
●字を読むと頭痛がしてくる
●逆さに読んでしまう
③ディスグラフィア(書字障がい)
●読みづらい文字を書く(まっすぐ書けない・文字の大きさを整えられない)
●句読点の打ち方が明らかに不自然、理解できない
●長い文章を書くのが苦手(作文や日記を書くのが困難)
●誤字脱字が明らかに多い
●漢字を正確に書くことができない(正しい書き順で書けない、漢字の細かい部分を間違って書く)
●黒板の文字を書き写すのが困難
●鏡字を書いてしまう。
④ディスカリキュア(算数障がい)
●分数、小数の大小を理解するのが困難
●筆算をしても繰り上がり、繰り下がりを正しく扱えない
●簡単な計算を暗算することが出来ない(指を使わなければできない)
●複雑な計算式を理解できない
●計算問題を解くのに異常に時間がかかる
●学年相応の数の表し方や意味を理解するのが困難(二万五十三を253や2053と書く)
●学年相応の文章問題を理解できない
⑤推論
●図形を書くことが困難である
●分量の比較が出来ない
●長さ、重さなどの単位を上手く扱えない
●臨機応変に計画を変更する能力がない
●因果関係を理解できず、飛躍した考え方をする
原因と対策
LDの原因は、脳機能の障がいとされていますが、まだはっきりとしたことはわかっていません。
親族に学習障がいの人物がいる場合に発症率が向上することから、遺伝的素因が強いと考えられています。
しかし、他の発達障がいと同じく育て方や環境などによるものではありません。
LDは知能に障がいもなく、特定の能力以外は正常です。
そのため、特定の分野においてできないことを「苦手」や「個性」と捉えてしまう場合が多く、対応が遅くなるケースが多いようです。
また、障害に気付きにくいために、「努力不足」と思われたり、「どうしてできないの」などと言われたりしてしまいます。
いじめや不登校につながることもあるのです。(二次障がい)
LDを持っていても、自信を持って学習できるように、適切な支援・理解が必要なのです。
例えば、ディスレクシア(読字障がい)の治療教育プログラムとしては、文字と音を正確に関連づける治療法が最初に行われます。
まずはこの技能を習得し、音の節や単語など目標を広げていきます。
ディスグラフィア(書字障がい)の場合ですと、本人の理解力に合わせて文法を1から覚えさせる、文字のつづりや文章の書き方の練習を継続して行うなどの治療教育が行われます。
ディスカリキュア(算数障がい)の場合は、簡単な足し算、引き算からやり直し、反復練習を積む治療教育を行うほか、他の分野において十分な結果を出した場合にしっかりと褒めるなど、心理教育を行って精神的な困難を取り除く治療が行われることもあります。
このように、時間をかけて治療していくと障がいは改善されていきます。