• 2016.8.8
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注意欠如・多動性障害(ADHD)

症状

1.不注意

ひとつのことに集中するのが難しく、集中力が長続きしません。
周りの刺激に気をとられやすく、すぐに気がそれてしまいます。
忘れっぽく、よく物をなくします。
●学校の勉強などで、細かいところまで注意を払わなかったり、不注意な間違いをしたりする
単純な計算ミス、ケアレスミス、文章を書くときに先のことを考えていて字が抜ける、“点”や“はね”など細かいところまで注意を払わない、問題文を最後まで読まない、など。
●課題や遊びの活動で注意を集中し続けることが難しい
途中で注意がそれて投げ出したり、ゲームなどの自分の順番を忘れてしまったりする。
●好きなこと、興味のあることなどには集中しすぎてしまい、切り替えが難しい
話しかけても気づかない、中断するのが難しい、など。
●面と向かって話しかけられているのに聞いていないように見える
自分の好きなことを考えていることが多いためボーっとしているように見える、相手への注意を払わない、他の方向を見る、他の内容の話をする、など。
●課題や活動を順序だてて行うことが難しい
計画が立てられない、いろいろなことに手を出して優先順位がつけられなくなる、課題の手順がわからない、など。
●同じことを繰り返すのが苦手
漢字を繰り返し覚えるなどコツコツ努力することが苦手であったり、面倒くさがって最後までやらず、あきらめてしまったりする。
●課題や活動に必要なものをなくしてしまう、忘れっぽい
上履き、縦笛などを道に忘れてしまう、鉛筆・消しゴムなどを何度もなくす、持ち物の管理ができない、確認をしない、物(宝物なども含め)を大事にするという意識がない、物を置いた場所を覚えていない、部活動の時間を忘れる、部活動があったこと自体を忘れる、など。
●注意が長続きせず、気が散りやすい
音や声などに敏感に反応する、目に入ってきた刺激にすぐ興味を示す、いつもいらいらしている、など。

2.多動性

無意識に体が動き、それを抑えられません(体の多動)。
おしゃべりを自分でコントロールできません(口の多動)。
●授業中など、座っているべきときに落ち着いて座っていることが難しい
立ち歩き、他の子の邪魔をする、気になることがあるとすぐそちらに行ってしまう、自分の思いが先に立つ、座ってはいられても我慢していてつらい、立ち歩きたいのを我慢していてそわそわしているように見える、姿勢が悪い、姿勢の保持ができない、授業中にずっと落書きをしている、など。
●遊びや余暇活動におとなしく参加することが難しい
力の入れ方がわからず過激になる、夢中になりすぎ周りが見えなくなる、場が読めない、すぐにふざける、など。
●過度にしゃべる
一方的にしゃべる、しゃべりだすと止まらない、声も大きい、大人同士の会話に割って入る、話の内容がころころ変わる、先生の話を聞いて自分の頭に浮かんだことをしゃべる、授業中に勉強のこと以外でもそのとき思ったことなどを友達にしゃべり続ける、など。

3

.衝動性

自分の感情を抑えることが苦手です。
自分の発言や行動を抑えることが苦手です。
●質問が終わらないうちに出し抜けに答えてしまう
手を挙げるのを忘れる、指名されていないのに答えてしまう、思ったことや知っていることを言わなければ気がすまない、最後まで聞かず思い込みでしゃべることが多い、など。
●順番を待つのが難しい
横から割り込む、待つ時間が長く感じられる、1 番にこだわる、やりたいという思いが強いためにルールを無視してしまう、など。
●他の人がしていることをさえぎったり、邪魔したりする
人が手に持っているものが気になると触らずにはいられない、周りが見えていないため大声で自己主張し、自分が最初にやろうとする、など。
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原因と対策

注意欠陥多動性障がいは、先天性の脳機能障がいです。
短期記憶や注意力、推論、判断、感情の抑制などをつかさどる前頭前野の部分が関係していると考えられていますが、はっきりした原因は、まだわかっていません。
また、脳内の神経伝達物質や遺伝が関与しているのではないかとも考えられ、研究が進められています。

注意欠陥多動性障がいを完治する治療法は、まだ見つかっていません。しかし、生活を送りやすくするための治療を行うことで、人との関わりも、本人の負担も軽減されます。

治療方法は、薬物療法・心理療法・食事療法などがありますが、症状を軽減する環境づくりも大切です。

薬物療法

薬物療法により、症状を改善することで、学習や仕事の能力・考え方・行動・他の人との関わり方など多くの面で効果が出てきます。
主にADHD治療で使用されている中枢神経刺激薬(メチルフェニデートなど)は、ノルアドレナリンとドーパミンの取り込みを抑制することで、神経伝達物質の不足が改善され、ADHDの症状が改善するとされています。
中枢神経刺激薬の服用で、約80%の人に症状の改善がみられたという報告もあります。

心理療法

心理療法には、行動療法・認知行動療法などがあります。
ADHDの人は、失敗も多く、自己評価の低い人も多くいます。自己評価を高め、心のケアをしていくことは、今後の不安を取り除く面でもとても大切です。

行動療法

問題行動を改善するために、実践で身につけます。
本人の力を引き出しながら、問題行動を良い方向に導いていくのです。
良く出来たときには褒めてあげることで、本人の自信にもつながっていきます。

認知行動療法(認知療法)

ADHDの特性を理解したうえで、問題行動の認知の仕方を変えていきます。
問題行動をどう捉えるかによって、感情や行動にも変化が現れます。
そして、感情をコントロールできるようになっていくのです。

食事療法

ADHDの問題行動は砂糖や食品添加物の過剰摂取も関係していると考えられています。
食事療法では、砂糖や食品添加物の摂取をなるべく控えるようにして、バランスの良い食事を心がける治療法です。

かつては、ADHDの認識がなかったので、親の愛情やしつけ、本人のやる気が原因と誤解されることも多かったようですが、育て方や本人のやる気が原因ではありません。

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